Tip-Edgeの概要

Tip Edge techniqueは、1986年にPeter C Keslingにより開発されたストレートアーチ・テクニックである。その歯の移動様式は、light wire techniqueと同様である。

しかし、bracketangulationとtorqueは、ブラケットに組み込まれており、仕上げは.0215"×.028"の角ワイヤーによる三次元的コントロールが達成される。移動の初期の段階では、あえて歯体移動を避け、目的とする歯冠の位置まで傾斜移動を行い、最終ステージで個々の歯のライトアップを行う。その際に自動的にトリプルコントロールが達成されることとなる。

Tip Edgeブラケットの起源は、アングル以来、改良が続けられているエッジワイズブラケットであるが、その発展の最前線に位置している。エッジワイズ装置の最大の課題である歯根の移動を行うための歯体移動は、移動の初期の段階から最終的歯軸へ向けて最小限の移動を達成させるための非常に良い方法であった。しかし、歯体移動を行うが故に多大な矯正力が必要となり、ヘッド・ギヤー等の顎外固定装置が必須となったのである。また、抜歯も必要な場合が多くあった。ところが、Tip Edge techniqueでは、発想の転換をはかり、あえて傾斜移動を採用することにより、大臼歯の固定源の消失が非常に少なくなり、抜歯症例の頻度が減少したり、第一小臼歯に代わり第二小臼歯が抜歯の対象となることが多くなったのである。また、初期の段階で歯列のダイナミックな移動と、ほとんど痛みのない歯の移動が短期間で達成されるのである。歯の移動に要する矯正力が小さいため、顎間固定用ゴムの力が小さくてすみ、患者は食事中さえ無理なくゴムを装着し続けられるので、機能的強制装置と同様な顎の発育促進効果も現れることがある。

Tip-Edgeの概要

Tip Edge techniqueは、1986年にPeter C Keslingにより開発されたストレートアーチ・テクニックである。その歯の移動様式は、light wire techniqueと同様である。しかし、bracketangulationとtorqueは、ブラケットに組み込まれており、仕上げは.0215"×.028"の角ワイヤーによる三次元的コントロールが達成される。移動の初期の段階では、あえて歯体移動を避け、目的とする歯冠の位置まで傾斜移動を行い、最終ステージで個々の歯のライトアップを行う。その際に自動的にトリプルコントロールが達成されることとなる。

 

Tip Edgeブラケットの起源は、アングル以来、改良が続けられているエッジワイズブラケットであるが、その発展の最前線に位置している。エッジワイズ装置の最大の課題である歯根の移動を行うための歯体移動は、移動の初期の段階から最終的歯軸へ向けて最小限の移動を達成させるための非常に良い方法であった。しかし、歯体移動を行うが故に多大な矯正力が必要となり、ヘッド・ギヤー等の顎外固定装置が必須となったのである。また、抜歯も必要な場合が多くあった。ところが、Tip Edge techniqueでは、発想の転換をはかり、あえて傾斜移動を採用することにより、大臼歯の固定源の消失が非常に少なくなり、抜歯症例の頻度が減少したり、第一小臼歯に代わり第二小臼歯が抜歯の対象となることが多くなったのである。また、初期の段階で歯列のダイナミックな移動と、ほとんど痛みのない歯の移動が短期間で達成されるのである。歯の移動に要する矯正力が小さいため、顎間固定用ゴムの力が小さくてすみ、患者は食事中さえ無理なくゴムを装着し続けられるので、機能的強制装置と同様な顎の発育促進効果も現れることがある。

Tip-Edgeの特徴

このブラケットの特徴を要約すると、以下のようになる。 

1、治療期間が短い。

2、固定源の消費が少ないので、加強固定装置が不要 。

3、隣在歯への反作用がない。

4、歯が傾斜するとブラケットスロットが拡大するので、ワイヤーとブラケット間の摩擦がない。そのため、早期から、最終の角ワイヤーを無理なく使用できる。

5、傾斜した歯を直立させるときには、逆にブラケットスロットが徐々に縮小するので、トルクが徐々に加わり、患者は痛みを感じない。また、ワイヤーの交換が不要となる。

以上のように、本テクニックには他にはない特徴を有しているが、他のテクニックとは、どのようなものがあるのか。以下に、アメリカ矯正歯科医学会、日本矯正歯科学会、その他で使われている用語を引用して、簡単に一般的なテクニックの紹介をしたい。

 

まず、アメリカ矯正歯科医学会(AAO)の分類では、以下のようになる。


Technique listed In AAO directory

このように、かなり古典的なカテゴリーもいまだに加えられている。現代的な分類で、主なMulti-bracket systemの種類をあげてみると、以下のようになる。

主な Multi-bracket system の種類

また、日本における装置別分類を調べてみると、以下のようになる。

日本矯正歯科学会会員名簿における使用テクニック名称一覧

以上のうち、古典的なもので、現在では、ほとんど使用されていないものとしては、Activators、Labio-Lingual、Crozat、Twin Wire、Universalテクニック等である。また、Multi-bracket system(マルチブラケットシステム)とは、本来、和製英語で、ブラケットを使用した矯正テクニックの総称である。"Multi" とは「多数の」という意味であるので、Multi-bracket systemとは、多数の歯にブラケットを付けて矯正治療を行う方法を言う。そのシステムを、マルチブラケットシステム(MBS)と言う。過去の呼び名としては、マルチバンド(Multi-band)法、フルバンド(Full band:全帯環装置)法、英語では、Fixed appliance (固定式装置)と言う。ブランケット開発の歴史は、1世紀前のE.H.Angleにさかのぼる。1910年、アングルはPin and tube applianceを製作し、それを発展させて、1915年にRibbon arch applianceを開発した。晩年、1925年には、edge wise bracketを考案し、その弟子たちが今日まで多くの改良を加えてきている。一方、アングルの弟子の一人であるBeggは、1930年代になってRibbon arch applianceのブラケットの上下逆に付け、操作性の向上をはかった。ウイルコックにより製作されたラウンドワイヤーの使用により、効率がさらに向上した。Beggの行っていたこの治療法をKeslingが整理・体系化し、Begg tecniqueとして広く紹介した。これが、ライトワイヤーテクニックの始まりである。

 

エッジワイズ法は、使用するワイヤーの断面が角型(edge)であるため歯体移動が可能となったことは、リボンアーチ法、あるいはベッグ法とは大きく異なる点である。しかし、歯体移動には、大きな矯正力が 必要となるので、固定源の確保が問題となった。したがって、ヘッドギヤー等の顎外固定が不可欠となっていた(Tweed/Merrifield)。一方、各歯は、固有の傾きもって配列され歯列を形成しているので、ワイヤーを屈曲する事により、三次元的なコントロールを行っていた(Standard edgewise)。この点を容易化する目的で、ストレートワイヤーテクニックが出現した。ストレートワイヤー法では、ブラケットそのものに各歯に合った三次元的調整が加えられているので、ワイヤーは歯列弓のスムーズな形態そのものを使用すればすむこととなる。この方法には、Andrews Straight wire、Alexander Straight wire、Roth Straight wire、Level Anchorage System、Bioprogressive techniqueなどがあり、それぞれ固有の特徴をもっている。MEAWテクニックとは、スタンダードエッジワイズ法の一種と考えてよいが、各ブラケット間にL型のループを屈曲し、アーチワイヤーを作製するもので、操作が煩雑である。ベッグ法のスムーズな歯の動きとエッジワイズ法の三次元的コントロールを同じブラケットで行おうとしたものが、Combination Anchorage(CAT)とTip-Edgeである。

 

その他、混合歯列期に主に使用される装置として、Functional appliances(機能的装置)、種々の大臼歯の遠心移動装置、歯列の側方拡大装置などが多く用いられている。

Tip-Edgeテクニックの基本理念

Tip Edge Differential Straiight-Arch technique
 

本法は、矯正力の強弱による歯の選択的移動を行おうとするものである。すなわち、前歯の舌側 移動時には、弱い力を用い、大臼歯の近心移動には、強い矯正力を用いる。言い換えれば、傾斜移動 と歯体移動とを使い分ける方法である。歯の傾斜は、弱い力で移動する一方、歯根の移動には比較的強い矯正力を要するので、前歯の傾斜による舌側移動中には、固定源となった大臼歯が近心へ引っ張られて移動することはないと考えられる。
  次の特徴として、この装置は、初期段階のフリーティッピングの時期から最終段階における詳細 な歯根のポジショニングの期間まで、1本1本の歯が単独で移動するということである。すなわち、隣接はに移動の反作用が加わらないのである。 
  さらに、本法では、歯冠が早期に最終目標の位置に配列されるので、口腔周囲筋を自然保定装置として治療に対する協力性をいっそう向上させる結果となる。治療手順における特徴は、最初のステージで前歯の咬合挙上と臼歯の直立により、咬合による顎位のロックを外す点である。上下歯列の咬頭嵌合が緊密な場合、スプリントを用いなければ、顎位の変更はできないどころか、歯の移動も困難である。しかし、歯列のロックを外すことにより、顎位は本来の位置へ移動しやすくなるし、弱い顎間ゴムによる誘導で容易に変更が可能となる。また、最終ステージでは、角ワイヤーとサイドワインダー・スプリングによる歯根の移動(トルク)が徐々に行われる。これは、傾斜により拡大されたブラケットスロットのアップライトによる縮小による ものである。

Tip-Edgeテクニックの治療手順

プレステージⅠの手順

本テクニックの元法には、プレステージⅠはなく、ステージⅠに直接入るとされているが、日本人不正咬合の特徴は、白人と比較して叢生量が多いので、直接.016"のワイヤーを装着しようとしても結紮できる歯が限られてしまうことが多い。そこで、移動量は少ないものの、歯の周辺の骨代謝を均一に開始させる準備として、このステージを加えたものである。したがって、叢生量の少ない症例は、直接ステージⅠへ進めばよい。

1.ワイヤーを模型上で大臼歯遠心までの長さを調整
2.カットしたワイヤー遠心部分の熱処理
3.口腔内へ装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲

 

ステージⅠの手順

1.プレステージⅠで使用した.14"NiTiワイヤーを口腔内の犬歯遠心でカットする。口腔外で、犬歯遠心部を熱処理し舌側へ屈曲する
2.オーストリアンワイヤーを模型上で長さを調整
3.第1大臼歯チューブの近心2mmでアンカーベンドを屈曲
4.ワイヤー遠心部分への熱処理
5.口腔内へ.14"NiTiワイヤーの上に.016"ワイヤーを重ねて装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲。ただし、.14"NiTiワイヤーは前歯の全ての歯に結紮し、.016"ワイヤーは、無理なく結紮できる歯だけに結紮する。
6.顎間ゴムの装着を開始する。

 

ステージⅡの手順

1.022"オーストラリアンワイヤーを模型上で長さを調整
2.犬歯サークルから後ろのワイヤー部分にカーブを屈曲
3.カットしたワイヤー遠心部分の熱処理
4.口腔内へ装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲
5.水平ゴム、顎間ゴムの装着

 

プレステージⅢの手順

1.022"オーストラリアンワイヤーを模型上で長さを調整
2.犬歯サークルから後ろのワイヤー部分にカーブを屈曲
3.カットしたワイヤー遠心部分の熱処理
4.口腔内へ装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲
5.水平ゴム、顎間ゴムの装着

 

1.ステージⅠで使用した.016"オーストラリアンワイヤーのアンカーベンドを伸ばし、代わりに大臼歯近心2mmにオフセットを屈曲。犬歯サークルより遠心のワイヤー部分にはカーブを付与
2.ワイヤー遠心部分の再熱処理
3.口腔内へ装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲
4.顎間ゴムの装着

 

ステージⅢの手順

1.プレステージⅢのワイヤーに合わせて角ワイヤー(.0215"×.028")の長さを調節
2.ワイヤーの遠心舌側部分の削合と熱処理
3.口腔内へ装着し、大臼歯の遠心へ突出したワイヤーを屈曲
4.サイドワインダーと顎間ゴムの装着

以上は、基本的な手順であるが、さらに症例に即した主な治療法を述べる。

 

過蓋咬合の治療法(2以降はKeslingの方法)

1. プレステージⅠ:上下顎123にプランケット、6にチューブを装着し、
.014"NiTiワイヤーをセット(叢生症例)
2. ステージⅠ:上下歯列に.016"ワイヤーをセット(アンカーベンド付与)、顎間ゴム開始 
3. ステージⅡ:上下歯列に.022"ワイヤーをセット(カーブ付与) 
4. プレステージⅢ:45(小臼歯)にブラケットを7(大臼歯)にチューブを装着し、.016"ワイヤーをセット 
5. ステージⅢ:上下歯列に.0215"×.028"角ワイヤーとサイドワインダー・スプリングをセット

 

5/5抜歯症例の治療法(2以降はParkhouseの方法)

1. プレステージⅠ:上下顎1234にプランケット、6にチューブを装着し、
.014"NiTiワイヤーをセット叢生症例) 
2. ステージⅠ:上下歯列に.016"ワイヤーをセット(アンカーベンド付与)、顎間ゴム開始 
3. ステージⅡ:上下歯列に.022"ワイヤーをセット(カーブ付与) 
4. プレステージⅢ:7(第二大臼歯)にハヅカルチューブ装着、.016"ワイヤーをセット 
5. ステージⅢ:上下歯列に.0215"×.028"角ワイヤーとサイドワインダー・スプリングをセット

 

非抜歯症例の治療法(2以降はKeslingの方法)

1. プレステージⅠ:上下顎123にプランケット、6にチューブを装着し、
.014"NiTiワイヤーをセット(叢生症例) 
2. ステージⅠ:上下歯列に.016"ワイヤーをセット(アンカーベンド付与)、顎間ゴム開始 
3. プレステージⅢ:45(小臼歯)にブラケット、7(大臼歯)にチューブを装着し、.016"ワイヤーをセット 
4. ステージⅢ:上下歯列に.0215"×.028"角ワイヤーとサイドワインダー・スプリングをセット

 

Ⅲ級骨格性不正咬合の治療法

目的Ⅰ:上顎歯列の一体化

1. 上顎第一大臼歯にバンドをし、舌側に急速拡大装置、またはパラタルバーを装着大臼歯の不良な咬頭嵌合によるロックの解除と上顎第一大臼歯の固定
2. 上顎に.014"VIM形状記憶ワイヤーセット(上顎プレステージⅠ) 
3. 上顎に.016"オーストラリアンワイヤーをセット(ステージⅠ)
下顎に.014"VIM形状記憶ワイヤーセット(下顎プレステージⅠ) 
4. 上顎に.020"オーストラリアンワイヤーをセット(上顎歯列の一体化が完了)

 

目的Ⅱ

1. 下顎に.016"オーストラリアンワイヤーをセット
3級顎間ゴム(上顎6から下顎23間のサークルへ装着) 
2. 上顎に.0215"×.028"ステンレススティールワイヤーをセット
下顎に.022"オーストラリアンワイヤーをセット 
3級顎間ゴム継続(上顎6から下顎23間のサークルへ。但し、開咬の場合には前方部に
アップダウンのショートClassⅢゴムを装着)

 

目的Ⅲ咬合の確立

1. 下顎に0215"×.028"ステンレススティールワイヤーをセット。必要に応じて、
必要な箇所に3級顎間 ゴムを装着 
2. 上顎歯列に.014"オーストラリアンワイヤーをセット
小臼歯部に顎間ゴムを装着し、咬合の緊密化を図る。